
伊香保温泉(群馬県渋川市)から車で15分ほどの場所にある「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」(同県吉岡町)は、私設の博物館ながら年間40万人が訪れる。世界各国の人形や自動車など3万点を超える展示物は全て横田正弘館長が収集したもの。人気漫画の展示をきっかけに、訪日外国人客(インバウンド)の来館も増えている。
中世ヨーロッパ風の外観の博物館は3階建てで、延べ床面積は約3000平方メートル。館内に入ると、英国やドイツなど世界各国のかわいらしいテディベアが出迎えてくれる。
足を進めると館内は昭和の懐かしい雰囲気に変わる。当時のアイドルのポスターやボードゲームなどが所狭しと並び、タイムスリップしたような感覚に陥る。横田館長は「一般的な博物館は展示物をショーケース越しにしか見られない。ここでは町並みの中にショーケースを埋め込むイメージで作った」と話す。
力道山など高度経済成長期を支えたプロレスグッズを集めたコーナーでは、男性ファンが食い入るように展示物を見つめていた。東京都から大学の友人と訪れた女性(22)は「昔のテレビゲーム機も展示されていて興味深かった」という。
国内外の自動車も約100台展示。屋外にも約1300平方メートルの展示スペースがあり、映画のポスターやセットが展示されているほか、2019年11月からは戦車のジオラマも始めた。
横田館長は建築会社の社長を務める傍ら、趣味で自動車や昔のおもちゃを収集してきた。40歳で会社を辞め、1994年に博物館を開いた。展示物はインターネットなどで購入。今でも1週間に10個ほど展示を増やしているという。
12年に設置した漫画「頭文字(イニシャル)D」のコーナーをきっかけに、近年は外国人の来館も増えている。漫画は渋川市を主な舞台としており、海外で実写映画化されるなどアジア各国でも人気が高い。館内には主人公の実家のモデルとなった豆腐店を再現。漫画に登場する車も展示している。
最近は台湾からの観光ツアーのバスが1日数台止まるほか、韓国人の個人客も増えている。「自分の国のおもちゃと比較して楽しんでいるようだ」(横田館長)。台湾語のマップを作成して対応しているほか、今後は展示物の案内表示を多言語化することも検討している。
(前橋支局 木村祐太)
[日経MJ 観光・インバウンド面 2020年1月20日付]
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