壊れたおもちゃの修理を無料で請け負う春日井市のボランティア団体「春日井おもちゃクリニック」が、持ち主の親子と一緒に直す参加型の「おもちゃの病院」を三月から始めた。同市六軒屋町の無印良品イーアス春日井店で、毎月第四日曜に「開院」。代表の加藤智弘さん(60)は「将来的に春日井市が誰でもおもちゃを直すことができる地域になってくれれば」と願う。 (小林大晃)
無印良品では国内最大級という広い店舗内に、地元業者が模擬店を出したり、市が催しを開いたりする交流スペース「中央広場」がある。テーブルや椅子などが置かれたその一角で三月下旬、初めての参加型の病院が開かれ、三組の親子が壊れたおもちゃを持って訪れた。
子どもたちは、おもちゃを直す会員の「ドクター」数人と修理に取り組んだ。用意されたワークシートに壊れたおもちゃの状態やその原因、どうすれば直せるかなどを書き込んでいく。電動でミニカーを走らせるおもちゃなどを持ってきた若杉望杏(もな)さん(9つ)は、ドクターが修理する様子を見て「怖いくらいすぐに直った。めっちゃうれしい」と目を輝かせた。
春日井おもちゃクリニックの病院は、体験学習施設「エコメッセ春日井」(神屋町)が「本院」だ。団体は二〇〇二年のエコメッセ開館時から活動し、現在は月に一回、元エンジニアなど二十人以上のドクターが、子ども用おもちゃを無料で修理している。
おもちゃの修理は預かったうえで修理して返すのが一般的で、エコメッセ春日井では三十〜六十個ほどを引き受けている。参加型のおもちゃの病院は、加藤さんがかねて構想を温めてきたといい、活動を聞き付けた無印良品側が声を掛けたことで実現した。
参考の一つとしたのが、オランダ発祥で欧州を中心に広がる「リペアカフェ」と呼ばれる取り組みだ。地域の公共スペースや空き店舗にボランティアが集まり、住民が持ち込んだ家電や機械などの修理を引き受ける。預けっぱなしにするのではなく、住民がボランティアと交流する中で製造工程を知り、修理できる人材を増やす目的がある。
加藤さんは「最近は壊れるとすぐに新品と買い替える傾向がある。今回の取り組みはSDGs(持続可能な開発目標)やSTEM教育(理数工教育)にもつながっていくはず」と話す。
事前予約制で、午後一〜二時と同二時半〜三時半の二枠、それぞれ三組まで受け付ける。二十四日はまだ余裕があり、空きがあれば予約なしでも対応する。修理を試して直らなかった場合は預かりとなる。予約は、無印良品イーアス春日井店のホームページから。
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