「おもちゃを直して」――。壊れたおもちゃを「治療」する千葉おもちゃ病院(千葉市若葉区)に「患者」が殺到している。新型コロナウイルスの影響でしばらく休院を余儀なくされ、10月に再開した。休院の間も依頼が相次ぎ、3代目院長の金子光雄さん(73)は「おもちゃを直すのが生きがい。ようやく子供たちの声に応えることができる」と喜ぶ。
「すごーい。ありがとうございます」。18日、同病院で小学4年の男児が喜びの声を上げた。持ち込んだのは赤ちゃんの頃に買ってもらったという赤いスポーツカーのおもちゃ。「1歳の弟に譲るつもりだったのに、タイヤがとれちゃった」という。30分ほどで元通りになり、受け取った男児は「弟が遊べるようになってうれしい」と満面の笑みを見せた。
同病院は2005年に開業。現在は週末に同市中央区の「きぼーる」など市内3カ所に開設されている。診断・修理するドクターは世代交代を経て現在10人が常勤している。全員が還暦を過ぎた元自動車整備士や元エンジニアなどだ。
診断には、おもちゃに「必要な治療」を記入するカルテも用意され、本物の病院さながら。修理のためにぬいぐるみの布地を切るなどすることもある。「子供にとってはショックが大きいため、治療の様子は見せない」と配慮も忘れない。
「治療室」では、金子さんが青色のエプロン姿でドライバー片手に黙々と作業していた。傍らの箱にはさまざまなねじや歯車など大量の部品が入っている。欠損した部品を補うため、日ごろから廃棄されたおもちゃから部品を集めている。持ち込まれ、修理したおもちゃは音が出なくなった電子ピアノや脚が折れたぬいぐるみなど、この10年だけで9765点に上る。
18日は約30人が訪れた。子供たちからは感謝の手紙が届くこともあり「活動の糧になっている」という。金子さんは「おもちゃには思い出がつまっている。『直せば動くんだよ』ということを伝えていきたい」と話す。
修理は1回1点までで、修理代は原則無料。部品の交換が必要な場合は部品代がかかる。90~95%のおもちゃは直しているが、修理できないこともあるという。開院日はホームページに掲載している。【長沼辰哉】
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