
薄暗くジメジメした飲み屋街、今川小路が「心の故郷」
「今川小路」――。JR神田駅西口から線路沿いを南へ約250メートル歩くとルリ子さんが少女時代を過ごした懐かしい場所にたどり着く。写真の左手前に見える看板「大松」を掲げた2階建ての角地が旧自宅。「昼間でも薄暗くて、列車の走行音がひっきりなしに聞こえるジメジメした飲み屋街だった。そのガード下が私にとっての心の故郷なの」と振り返る。だが今では、小路の両側にあった店舗や空き家などはすべて取り壊され、柵に囲われた更地になってしまった。 今川小路は千代田区(鍛冶町)と中央区(日本橋本石町)の境界。かつては隅田川に抜ける竜閑川が流れていた。1950年ごろにこの川が埋め立てられると露天商が軒を連ねるようになり、仕事帰りのサラリーマンらが立ち寄る「隠れ家的な盛り場」として人気を集め始める。最盛期には居酒屋、焼肉屋など20軒弱が営業していたという。 戦後の混乱期、小学校から中学校にかけての多感な時期をルリ子さんはここで暮らした。
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