富山市のボランティア団体「富山市おもちゃ病院」は、ぬいぐるみやラジコン、キーボードといった、どこかに何らかの不具合が生じたさまざまな玩具を、持ち前の技術で“再生”させ、親子らを笑顔にしている。
一度病院を「開院」すれば、十件ほどの依頼がある。玩具の構造が複雑だったり、ハイテクだったりする理由から、その場ですぐに直る玩具は少ない。メンバーが自宅へ持ち帰り、分解して慌てずじっくり二週間かけて修理に挑む。小学生の親子連れの依頼が一番多いが、年配の人も訪れる。
配線の点検やはんだ付け、スイッチや電池の取り換え…。家電修理や電力、土木関係などメンバーはそれぞれの仕事で培ってきた技術を駆使し、手分けしつつ互いに協力しながら作業にあたっている。ただ、故障箇所やあまりにも劣化の度合いが激しい場合は、直せる物には当然限度も。部品が入手困難なケースもある。
かなりの重傷なのか、簡単な修理で直るのか。人間とは異なり、「おもちゃはどこが悪いとは言ってくれない」と話すのは、会長の上木一郎さん(67)=富山市。今後メンバーの技術向上のための手だても考えている。
「『直してくれてありがとう』って言ってもらえたり、子どもたちの笑顔を見られたりしたら、やっぱりやっていてよかったなと思う」。上木さんは率直にやりがいを話す。
誰かのうれしそうな笑顔や温かい言葉が、メンバーを勇気づけ、それが大きな生きがいにつながっている。 (鈴木渉太)
【メモ】富山市おもちゃ病院 2012年に発足。同市内在住の50代2人、60代1人、70代10人の計13人が会員として活動している。月2回、同市今泉の市総合社会福祉センターで「開院」している。修理費は、簡単な場合は無料になるが、おおむね100〜300円。2022年度からは児童館の玩具の修理にも取り組んでいる。
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