
「山男のガチャ」――。屈強なイメージの名前が付けられた「ガチャガチャ」が人気を呼んでいる。売り物にならない木の部位を活用することを目的に生まれた名前とは正反対のかわいらしいおもちゃだ。天然木のぬくもりを感じられる山の土産として、自動販売機を設置する店も増えている。(鈴木章功)
硬貨を入れてハンドルを回すと、直径6センチほどのカプセルが出てくる。中に入っているのは、木の枝や幹の細い部分を加工して作られた「ぶんぶんごま」や鳥の鳴き声のような音を出す「バードコール」など12種類。天然の木を加工しているため、色や形、木目や節の場所が一点一点異なるのが特徴だ。「おもちゃ版」と、キーチェーンを付けたり、さいころ型に加工したりしたマグネットが入っている「雑貨版」があり、ともに1回500円で楽しめる。
このガチャガチャを製作しているのは、檜原村の林業会社「東京チェンソーズ」(青木亮輔社長)。同社は2006年、都森林組合に勤めていた若者4人で起業。檜原村を拠点に間伐や枝打ち、下刈りなどを請け負ったり、会員参加型の森づくりをしたりする事業を展開し、現在は20~50代の計22人が働く。
林業は取扱量の多い杉やヒノキの原木価格が安いため、補助金がないと経営が苦しくなる構造的な問題を抱えている。また、1本の木のうち最終的に建材になるのは25%程度で、枝や根、樹皮など残りの部位の多くは捨てられているのが現状だという。
同社は廃棄される75%の部位に着目。これを使えるようにすれば、1本あたりの木の価値が上がると考え、今まで流通していなかった規格外の木の部位にも価値をつける試み「1本まるごと販売」を打ち出した。
18年には、枝葉がついた先端部分や、幹が二手に分かれて伸びた「二股」、地中に伸びた根株など計15の部位を解説したカタログを作成。建築関係者や商業デザイナーなどに活用を働きかけたところ、昨年からオブジェやカフェのテーブルなどに採用されるケースが出てきたという。
こうした流れの中で誕生した「山男のガチャ」は昨年6月から販売が始まった。檜原村の観光名所「払沢の滝」の入り口に設置したところ、観光客らの間ですぐに評判となり、青梅市の御岳登山鉄道・滝本駅や、JR奥多摩駅2階のカフェ「ポート おくたま」、あきる野市の温泉施設「瀬音の湯」など、西多摩地域を中心に22か所に自動販売機を置いてもらえるようになった。
同社の創業メンバーの木田正人さん(54)は、「来年の夏までに50か所設置を目指す。山男のガチャを通じて、より多くの方に木に触れてもらい、木の良さを広めていけたら」と意気込んでいる。
からの記事と詳細 ( ガチャに木のぬくもり おもちゃやマグネット - 読売新聞 )
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